Google よし、京都に行こう!: 離れるのを待つしかない

2019年11月25日月曜日

離れるのを待つしかない


11月24日、今日の京都市左京区は晴れのち曇り。今日も暖かいお天気でした。

お友達からタネなし柿をもらいました。
美味しい柿でした。

よく民家の庭先で、食べきれぬほどの実をつけた柿の木を見かけます。

最近の熊騒動では、「柿の木の所にはクマが現れると思って気を付けてほしい」とよびかけられていて、
市町や自治会などは、集落や市街地に柿の木があるか確認し、可能な限り実を収穫するよう求め、
不要な木については伐採も勧めているようですが、

なぜ昔の家の庭には柿の木があったのでしょう?????

子供の頃、親の知人の住むどこかの田舎に連れられた時、
「庭先に植っている柿は『渋柿』だよ」と、
おそらくその時のその一度しか遊んだことのないそこの子供に教わった記憶があります。

少しかじらせてもらうと、歯の裏がガシガシになるほどエグく苦く、慌ててペペッと吐き出し、
「どうして甘い柿を植えなかったんだろう?育てるの失敗したのかなぁ???」
なんて思ったことを今も覚えています。

そして大人になるほどに知ったことは、
民家の庭先の木は殆ど「渋柿」で、わざわざ「渋柿」が植えられたのは、
食用以外の役割があったからだということです。

「渋柿」=「干し柿」
なんて思ってしまいますが、実は、
「渋柿」=「柿渋」の原料なのです。

(´⊙ω⊙`)???

今じゃすっかり聞かなくなった「柿渋」

ナニモノかというと、
「未熟な渋柿」から絞って漉し取った液体で、2~3年程度発酵させて使います。

非常に柿タンニンの多い液体で、発酵してギンナンのような匂いがしますが、
平安時代から、天然の放水剤・防腐剤・染料・和紙の補強剤・薬など、
様々な用途に用いられてきた日本固有の材料なのです。

木綿の糸に柿渋を塗ると、釣り糸として十分なほどの防水効果、補強効果がありました。

建物の壁などに塗ると、カビや虫を防げました。

和紙に「柿渋」を繰り返し塗ると、「渋紙」と言われる紙になります。
非常に腐食に強く、保存用の書類などに用いられてきました。

渋紙は、「紙衣」(かみこ)という、和紙で作った「雨ガッパ」にもなります。
かなり強力な撥水効果ですね。

そんな柿渋が、今では全くと言っていいほど用いられていません。
  
理由は簡単。化石燃料が柿渋の座を奪いとったからです。
大量に安く作れる石油や石炭に取って代わられたのです。

その結果が、田舎の民家の庭先で余るほどに実る渋柿たちなのです。

将来、今以上に干し柿を作る人も減り、渋柿の利用は無くなるでしょう。
柿の実を求めて熊が人里にやってこないようにするためにも、
持て余し邪魔になりつつある渋柿の木は伐採されていくことになるかもしれません。
これも進化や発展の1つなのかもしれませんが、長い歴史が廃れて行くのは淋しいものですね。

ちなみに余談ですが、
ある偉い先生が言ってました。

「クマによる死亡事故で、最も多いのは失血死です。
『死なないこと』を目標にするなら、うつぶせになり、けい動脈を切られないよう、
両手で首の後ろを押さえてクマが離れるのを待つしかない」と・・・。

( ̄O ̄;)

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